【この記事の執筆者】
相続税の研究を愛する相続専門の税理士。23歳で税理士試験に合格し、国内最大手の税理士法人で6年間の修行を積んだのちに独立。円満相続税理士法人の代表を務める。
まずは自筆証書遺言。これは名前の通り、自分の手で書き上げる遺言書です。
15歳以上の人であれば、誰でも紙とペンだけで簡単に作ることが可能です。(ちなみに15歳未満の人が作った遺言書は無効です)
一番の注意点は、全て自分の手で書き上げなければ無効になる点です。原則として全てを手書きしなければいけないのですが、この点について2019年1月に民法が改正され、自筆証書遺言の内、財産目録部分については代筆やパソコン、通帳のコピー等を使用しても良いこととされました。詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください→自筆証書遺言が代筆OKに
その他にも自筆証書遺言には細かい条件がたくさんあります。全ては書ききれないので、重要なものだけ箇条書きしますね。
・日付がないと無効(○月○日だけではなく、令和○年〇月〇日のように、日付が特定できないと無効です)
・夫婦共同の遺言は作れない
・訂正の際は、二重線を引いて、訂正印を押すだけではなく、訂正内容を書き加えないといけない
・署名押印は必ず必要。書き終わったら封筒に入れ、封印をしておくと偽造変造の疑いがなくなります。
などなど、自筆証書遺言には細かい条件が盛りだくさんなので、絶対に自筆証書で遺言書を作るんだ!と言う人は、別の記事で紹介する法務局での遺言書保管制度を利用して、法務局の方によく確認していただくといいですね。
遺言書をこれから作ろうと考えている、そこのあなた!遺留分という制度があるのをご存知ですか??もし、知らないのであれば、それは大変危険です‼遺言書を作る際には、必ず遺留分のことは知っておかなければいけません。
遺留分というのは、一言でいうと、残された相続人の生活を保障するために、最低限の金額は相続できる権利のことを言います。
この最低保障されている権利があるため、例えば、子供の中に「この子とは、もう絶縁よ!遺産も1円も残したくないから、遺言書に0円と書いておきましょう!」と書いていたとしても、いざ相続が起きた時に・・・
という事態に発展します。そうならないようにするためにも、もし、まだ遺留分のことをよくわからないという人がいれば、こちらの記事は必ず読んでください↓
遺留分とは相続人が生活に困らないように、最低限の財産は必ず相続できるように保障されている権利をいいます。兄弟姉妹は相続できなくても生活に困らないため遺留分はありません。相続専門の税理士がイラストを使いながらわかりやすく解説しました。
亡くなった人が自筆証書遺言を残しておいた場合には、その遺言書をすぐに開封してはいけません。家庭裁判所に持っていき、相続人立会いの下、せーので開封します。この手続きのことを、検認(けんにん)といいます。
自筆証書遺言は、作成が簡単にできる一方で、偽造や変造も簡単にできてしまいます。極論、自分に都合の悪い遺言書であれば、他の相続人に隠れて、遺言書をシュレッダーしてしまうこともあり得ます。そういった事態にならないように、家庭裁判所で遺言の内容を明確にしておく必要があるのです。
全ての相続人が家庭裁判所に行かなくてはいけないわけではありません。足の悪い高齢者の方だと、裁判所にいくは大変ですからね(ちなみに裁判所は、亡くなった人の最後の住所地を管轄する裁判所です→裁判所一覧)。
遺言書の検認の話をすると、よく次の質問をいただきます
いかがでしょう?
みなさんだったら、どう思いますでしょうか?
正解は・・・・
しないとダメです!理由は、法律で決まっているからです!検認をしなかった場合には、5万円以下の罰金です。
と、いうのが教科書的な理由ですが、実務上の理由からも、やはり検認はしておかないとまずいのです。その理由とは、ずばり・・・不動産の名義変更ができなくなってしまうからです!
不動産の名義変更をする際は、法務局に対して、遺産分割協議書か遺言書を提出しなければいけません。自筆証書遺言を提出する場合には、家庭裁判所から検認を受けたことを証明する、検認証明書をセットにして提出しなければいけないので、結局は検認は受けないといけないのです。また、不動産だけでなく、銀行などでの名義変更でも検認証明書が求められることもありますので、面倒くさがらずに検認手続きはうけましょう!
私はこれまで、3000人以上の相続の相談に乗ってきました。
その経験からお話すると、遺言書の作成は、手間とお金が掛かっても、公正証書で作ることを強くお勧めします。
と、いうのも自筆証書遺言は、非常によくトラブルが起きてしまうからです。これは大袈裟にいっているわけではありません。本当に多いんです!
一番多いトラブルは、遺言書の紛失です。
遺言書は、一番信頼できる人に管理をお願いすることが一般的ですが、管理を任された人も人間です。一緒に年をとるのです。
相続が起きたときには、管理を任されていた人が先に亡くなっているケースもたくさんあります。または、管理を任された人が認知症になってしまっているケース。
紛失以外のトラブルだと「この遺言書に記載がない財産が見つかった場合はこうしてね」という文言がないときもトラブルになります。他にも挙げるときりがないのですが、本当にトラブルが絶えないので、公正証書で作成することをいつもお勧めしています。
遺言書の作成に自身のない人は、相続の専門家の監修を受けながら作成した方が確実です。
しかし、弁護士や司法書士などの法律家の場合には、確かに法的には確実な遺言書ができるのですが、相続税のことが全く考慮されていない遺言書ができあがることが非常に多いです・・・。
「お金より気持ちの方が大切でしょ!」という法律家もいるのですが、きちんと相続税がどれくらい変わるかを知ったうえで、「相続税が高くなっても、このような分け方でいきましょう」と決定するのであれば、それはとても良い判断だと思いますが、相続税の検討を全くしないで遺言書を作ってしまうのは、そのことが原因で争いに発展することだって考えられます。(財産の分け方で何故相続税が何倍も変わってしまうのか!その理由はこの記事をご覧くださいませ→遺言書はまだ書くな!相続税が3倍変わる遺言書の書き方)
遺言書の作成は、相続税に強い税理士と相続問題に強い弁護士の両方に相談することをお勧めします!
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相続税は、担当する税理士の腕と経験によって何倍にも変わる恐ろしい税金です。費用や報酬だけで税理士を選ぶのではなく、実力を見極める5つの判断基準を解説しました。慎重に税理士を選びたい人だけご覧ください。
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