投稿日:2026.05.31 最終更新日:2026.05.31
円満相続マガジン2026年6月号
今月のニュース
円満相続塾ベーシックコース、開催中!

円満相続塾ベーシックコース、5月14日(木)から始まっております!
今年からは、
ベーシックコース(FPや保険会社、ご自身の相続対策をしたい方向け)
アドバンスコース(税理士・税理士事務所職員向け)に、分けて開催しております。
講義は録画が残るので、繰り返し復習することも可能です。 ベーシックコースは6月以降も申し込み可能です。既に終わった講義は、録画とテキストを配布しております。
アドバンスコースも引き続き受講生募集中です!
不動産オーナー必見!認知症による「資産凍結」リスクと家族信託による対策【税のトピック1】
最近、少し物忘れが増えてきて将来が不安です。もし私が認知症になってしまったら、今持っている賃貸アパートの管理や相続税の対策はどうなってしまうのでしょうか?
ご不安なお気持ち、よくわかります。実は、2025年には65歳以上の約5人に1人(約20%)が認知症になると推計されており、決して他人事ではありません。 結論から申し上げますと、不動産オーナー様が認知症を発症してしまうと、不動産の管理や新たな節税対策がストップしてしまう『資産凍結』という恐ろしい状態に陥ってしまうのです。
認知症になると不動産の管理や節税ができなくなる!?
不動産オーナー様が認知症になり、法的に「意思能力がない」と判断されてしまうと、あらゆる契約行為が無効となります。具体的には、主に次の4つのことができなくなってしまいます。
大規模修繕や建て替えができない
アパートの老朽化が進んで雨漏りなどが起きても、銀行からの新たな借り入れや、業者との大規模な工事請負契約を結ぶことができなくなります。当然、建物を壊して建て替えることも不可能です。
新規の賃貸借契約ができない
空室が出ても、新しく入居希望者と賃貸借契約を結ぶことができません。アパートの収益性もどんどん下がっていくことになってしまいます。
売却ができない
「管理が大変になったから手放そう」「まとまった介護費用が必要だから土地を売ろう」と思っても、不動産の売買契約ができなくなります。
節税対策ができない
生前贈与や、新たな不動産の購入など、相続税を減らすための積極的な節税対策は、すべて本人の意思能力が必要なため、一切できなくなってしまいます。
えっ!修繕もできないし、新しい入居者も入れられないなんて、アパート経営が立ち行かなくなってしまいます!そんなの困ります、何か対策はないんですか?
はい!対策は様々ありますが、今回は『成年後見制度』と『家族信託』の2つを紹介します。 不動産オーナー様が『成年後見制度』を使う場合には、知っておくべきリスクとデメリットをお伝えします。
成年後見制度のリスクとデメリット
成年後見制度は、認知症になった方の財産を守るための制度です。
そのため、次のようなデメリットがあります。
積極的な運用や節税対策はできない
あくまで財産を減らさないことが目的なので、アパートの建て替えや、相続税対策のための生前贈与などは、家庭裁判所に認めてもらえないケースがほとんどです。
専門家への報酬が継続的に発生する
親族ではなく、弁護士や司法書士などの専門家が後見人に選ばれることが多く、その場合、基本的には亡くなるまで毎月数万円の報酬を支払い続けることになります。
後見制度のデメリットをカバーする「家族信託」
そこで、不動産オーナー様に強くおすすめしたいのが「家族信託」の活用です。
家族信託とは、元気で意思能力があるうちに、不動産や預貯金などのご自身の財産の管理・処分する権利を、信頼できるご家族に託す仕組みです。
認知症になった後もスムーズに管理・運用ができる
管理する権限をお子様に移しておくことで、親が認知症になっても、お子様の判断でアパートの修繕や新規の賃貸借契約が可能です。
柔軟な売却や組み換えが可能
必要に応じて、お子様の権限で不動産を売却し、そのお金を親の介護費用に充てることができます。
成年後見制度のような継続的なランニングコストがかかりにくい
信頼できる家族に任せるため、専門家への継続的な報酬が発生しません。(※信託契約時の初期費用はかかります)
このように、家族信託は成年後見制度の「柔軟に財産を動かせない」という最大のデメリットを見事にカバーできる、不動産オーナーにとって非常に強力な対策となります。
まとめ:あきらめる前に、まずは早めの検討を!
現在、国でも成年後見制度をもっと使いやすい制度にするための民法改正が予定されています。これまでの使い勝手の悪い点が抜本的に見直され、今後、より柔軟で使いやすい制度に生まれ変わる予定です。
ただ、現状のルールのもとでは、不動産をお持ちの方の認知症対策としては『家族信託』は非常に有効な方法の一つです。
認知症による資産凍結は、ある日突然やってきます。手遅れになってしまってからでは、私たち専門家でも取れる選択肢が極端に狭まってしまいます。
不動産の管理や、認知症リスクを踏まえた相続対策についてお悩みのある方は、ぜひ元気なうちに、円満相続税理士法人へご相談ください♪
非上場株の相続評価が2028年1月から新ルールに!【税のトピック2】
大阪事務所の菊本です!
非上場株式(取引相場のない株式)の評価方法が大きく変わるかもしれないと聞きましたが、本当ですか?
本当です!4月20日に国税庁で外部の有識者を集めて開催された「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」にて、国税庁が評価の見直しの方向性を示しました。早ければ非上場株の相続評価が2028年1月から新ルールになるかもしれません。
そこで、その会議資料をもとに今後の非上場株式の株価評価見直しの方向性についてまとめました。非上場企業のオーナー経営者様にとって、今後の税務に大きな影響を与える可能性のある重要なお話です。
なぜ今、評価の見直しが議論されているのか
現在、非上場株式の評価は、株主の区分や会社の規模などに応じて評価を行うこととされています。具体的には、原則的の類似業種比準方式や純資産価額方式、そして特例的の配当還元方式などを使い分けて評価します。
しかし、この評価方式をめぐって、会計検査院から「異なる規模区分の評価会社が発行した取引相場のない株式を取得した者間で株式の評価の公平性が必ずしも確保されているとはいえない」との指摘が入りました。これが今回の見直し議論の大きな発端となっています。
浮き彫りになった「評価額の大きなかい離」
現状の制度における最大の問題点は、評価方式によって算出される株価に非常に大きな差が生じていることです。国税庁の資料から次のように示されています。
・類似業種比準価額の中央値は、純資産価額の中央値の27.2%という低い水準
・会社の規模が大きくなる(類似業種比準方式の適用割合が高い)ほど、純資産価額と申告評価額のかい離が大きい傾向
・特例的評価方式である配当還元方式の還元率(10%)は、昭和39年の制定当時の金利水準を参考にしたものであり、近年の低金利環境と合っておらず、評価額が相対的に低くなっているおそれ
評価額の「操作」と、いわゆる「伝家の宝刀(評価通達6項)」の問題
上記のような評価方式間の「評価額のかい離」が誘因となり、純資産価額方式の適用を回避しようとする恣意的な会社規模の変化や、評価額を圧縮する節税スキームが存在しています。
・グループ法人税制などを利用し、資産を親会社から子会社や孫会社へと移転させることで、親会社の株式評価を減少
・無議決権株式を大量に発行するなどして、株主の一部が配当還元方式を適用
・役員報酬として社外に流出させることで、会社の利益や内部留保(純資産)を減少させ、結果として評価額を大きく引き下げ
これらが行き過ぎた租税回避スキームに対して、国税庁はこれまで「財産評価基本通達6項(上記の方法では著しく不適当と認められる財産の評価)」を用いて個別に対応していました。しかし、それが多用されることで納税者の「予見可能性が損なわれる」という批判などもあり、評価方法の見直しをする必要があります。
M&Aの増加など、変化する時代背景
また、経営者の高齢化に伴い、事業承継の形も変化しています。
国内の中小企業におけるM&A(第三者への事業承継)の実施件数は増加しており、2022年度の実績では、事業承継・引継ぎ支援センターを通じたものが1,681件、民間M&A支援機関を通じたものが4,036件に上りました。
こうした事業承継の動向から、M&Aにおける評価実務も踏まえ、第三者への事業承継でも参考となり得る「適正な非上場株式の評価の在り方」を検討する必要もあるとされています。
今後の「4つの見直し方向性」
上記の有識者会議では、相続税法の時価主義のもと、以下の4つを基本的な観点として、評価方法について幅広く検討が行われる方向です。
①評価額の”崖”の解消
・異なる規模区分の会社間で株式評価の公平性を確保
・評価額操作の誘因となる評価方式間のかい離を排除
②実務・学術上の進展を踏まえた『今日的観点』からの見直し
・通達制定当時からの金利変動を踏まえ、適正な還元率への見直し
・継続企業の前提のもと、個々の企業の収益力等を反映
・企業評価に関する学術的研究の進展や税務以外における企業評価の手法等も参考
③評価額の「恣意性・操作性」の排除
・配当や利益、会社規模等の操作により、株価を圧縮するスキームを排除
・配当還元方式について、特例的評価の趣旨を踏まえた見直しと適用株主を作出するスキームの排除
④第三者への事業承継等の動向も踏まえた評価
・近年のM&Aによる第三者への事業承継の増加と企業価値評価を踏まえた検討
・継続企業を前提に、純資産価額方式における引当金の取扱いも含め、実務上の取扱いを踏まえて検討
今後の状況次第では、早ければ今年の秋頃までに見直し案が出てきて、令和9年度税制改正大綱に盛り込まれるかもしれません。そうなりますと、令和10年1月から新たな評価方式となる可能性があります。
まずは現状分析が大切です
非上場株式の株価は、毎年確認しておくことが重要です。
非上場株式をお持ちの方や、資産管理会社をこれから設立し活用した相続対策を検討している方は、一度相続税のシミュレーションとスキームの検討を行ってみることをおすすめします。
なお、非上場株式の詳しい評価方法は下記のブログをご参考ください。
>>『非上場株式の相続税評価額の計算方法を日本一分かりやすく解説しました』
編集後記(橘の日常)
ホームページをリニューアルしました
先月末にホームページを新しくリニューアル公開しました。
新しいホームページでは、円満相続税理士法人のことを、より多くの人に知ってもらえるように様々な工夫をしていこうと思っています。
例えば、税理士紹介のページでは、各税理士の経歴やプロフィールだけでなく、なぜ税理士を志したのか、相続専門になろうと思ったきっかけは、この仕事にかける想いなどを書いてもらう予定です。私自身のプロフィールも近くリニューアルする予定です。
私が相続税の世界に入ったのは今から15年前の2011年です。初めて就職した税理士法人での配属先が、相続税をほぼ専門で行う部署でした。
相続税という税金は、10人の税理士がいれば10通りの税額になる、他の税目にはない特別な性質があります。また、故人や家族の気持ちを考えれば、税額が高くなったとしても提案すべきアドバイスがあるなど、本当に奥が深いと思います。
日々、相続に纏わる情報発信をしていると、まだまだ自分でも知らないことがたくさんあることに驚きます。YouTubeのコメントから新しい発見があることも多々あります。日々勉強していけるのは、とても楽しいですし、ありがたいことですね。
私達の会社は、2017年1月に創業したので、2027年1月で丸10周年を迎えます。大田と二人で始めた会社も今や30人以上の会社になりました。本当にありがたいことです。
良い形で10年を迎えられるよう、残りの7ヶ月間も走り抜けたいと思います。
今後とも、宜しくお願いします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。