

円満相続税理士法人 代表税理士
『最高の相続税対策は円満な家族関係を構築すること』がモットー。日本一売れた相続本『ぶっちゃけ相続』シリーズ10万部の著者。YouTubeチャンネル登録者8.5万人。2022年7月に長男が産まれました。
こんにちは、円満相続税理士法人の橘です。
士業が、お客様を集客する方法は、大きく2つしかありません。
一つは、インターネット等から集客する方法(直接法)。
二つは、金融機関などからの紹介によって集客する方法(間接法)。
私達の事務所では2022年現在、インターネットからが8割、紹介が2割という割合です。
一方、大手と呼ばれる税理士事務所の多くは、金融機関からの紹介によって集客しています。
※金融機関とは、銀行・証券会社・生命保険会社を指します。
金融機関と専属契約ができれば、仕事を安定的にたくさん紹介してもらえます。
士業としては、この上なく有難い存在です。
ただ、それゆえに、金融機関から、士業はただの下請け業者にしか見られていません。
私が過去にそのような扱いを受けていたので、よくわかります。
金融機関と提携したい士業は、それこそ掃いて捨てるほどいます。
そのため、融通が利かない士業であれば、
そんなこと言うなら、次から別の税理士に頼みますわ
となるのです。
そして、紹介に依存した士業は、金融機関の言いなりになるわけです。
私は、それが嫌で独立開業し、紹介に依存しない集客方法を構築し、今日に至りました。
今回は、士業が誇り高く仕事をするために、紹介に依存しないことの大切さ、金融機関と付き合う上で大切なことをお伝えしていきます。
※金融機関に対して批判的な論調となりますが、これは一部の金融機関に対するものであり、全ての金融機関に当たるものではないことをご了承ください。
士業はただの下請け業者
はっきり言います。
金融機関から見れば、士業はただの下請け業者に過ぎません。
対等なビジネスパートナーとは思われていないでしょう。
『金融機関がお客を集め、金融機関が士業にお客を紹介する』という図式が前提なら、それは当たり前です。
金融機関からすれば、士業は星の数ほどいるわけですから、最も融通の利く士業に紹介をするのが普通です。
ここで大事なのは、『融通の利く』とは、『お客様にとって』ではなく、あくまで『金融機関にとって』ということです。
金融機関が求める融通とは
『金融機関が求める融通』とは、具体的に次のようなものがあります。
紹介料(キックバック)
金融機関が税理士を紹介し、契約に至った場合には、税理士に払われる報酬の何割かを紹介料として、金融機関にキックバックしています。
紹介料の相場は20~30%ほどです。
金融機関の商売につなげる
金融機関が紹介した税理士は、そのお客様に対して、必ず、金融機関のビジネスに繋がる提案をするように言われています。
例えば、生命保険の非課税枠を使っていないお客様がいれば、生命保険をおススメしてあげる。
※これは実際に効果があるので良いと思います。
遺言の提案をするなら、
これを実現させるために、遺言信託に入りましょう
と税理士の口から遺言信託をおススメしてあげる。
※遺言信託は、あまり意味がないと思うので、おススメできません(一定の人には効果がありますが…)。
事業承継の提案をするなら、
株式を買い取るために、銀行から融資をしてもらいましょう
と融資をおススメする等。
※融資を使わなくても同じ形が実現できるにも関わらず、無理やり融資を絡めた提案が横行しています。これは、公平中立の立場が求められる税理士にとって、あってはならないことだと思います。
私の実体験
私がサラリーマン税理士をしていた時の話です。
ある銀行の方からお客様を紹介されました。
私は、お客様にとって最善な提案を考え、それを紹介元の銀行に伝えたところ、第一声が…
この提案は、私達のビジネスにどう繋がるのですか?
という言葉でした。
※結局、私の提案は却下され、別の税理士の提案(銀行に忖度した)が採用されていました。
私はその時、
あぁ、この人達は、お客様のことよりも、自分たちの商売しか頭にないんだな…
とガッカリしました。
また、別の時は、『事業承継のため』と言い、お客様に不要な融資をさせ、大喜びをしている銀行員を見ました。
私はその時、
こういったやり方でお金を稼ぐために税理士になったんじゃない!
と憤りを感じ、上司に直訴しました。
しかし、上司からは、
まぁ気持ちはわかるけど、うちの会社は銀行さんの紹介で成り立っているんだから、それくらいは仕方ないんじゃないの?
という返事がきました。
私の上司は良い人でしたが、それを聞いて独立を決意しました。
生命保険会社とのトラブル
私は、生命保険会社の営業の人と、よくトラブルになります。
それは、保険会社の人が考える『紹介』と、私達が考える『紹介』という概念に大きな違いがあることが原因です。
保険会社の人は、その一人一人が個人事業主として活動されています。
個人の営業成績を伸ばすためには、『紹介』を頂いてなんぼの世界です。
つまり、『紹介』を『超有難いもの』と位置付けており、紹介してくれる人を『神』のように扱っている人もいます。※神は大袈裟かもしれませんが。
それゆえに、保険会社の人は、自分が紹介する側に立つと、『私は神だ』のような態度で接してくることがあります。
私達が悲しくなる『紹介』
保険会社の方から次のような紹介がくると、私達はとても悲しい気持ちになります。
それは、保険会社の人が、頼まれてもいないのに、
相続でお悩みなら、相続を専門としている税理士を紹介できますよ。是非、一度お会いになられませんか?
と提案し、お客様も、
まぁ、そこまで言うなら、一度会って話を聞いてあげてもいいけど…
と、しぶしぶ了解するようなケース。
このような場合、私達がそのお客様の前にいくと、
そんで?
今日はどんな話を聞かせてくれるの?
という、非常に雑な扱いを受けます。
私達からすると、
せっかく時間を作って、足まで運んで相談を聞きに来たのに、何故、こんな横柄な態度を取られなければいけないのか!
という気持ちになります。
こういった紹介をする保険会社の人は、ただ単に、会う回数を増やしてザイオンス効果※を得ることや、『税理士を紹介してあげた』という恩を売るのが目的なだけだと思います。
※ザイオンス効果とは、会う回数を増やして親近感を上げる心理学的なテクニック
さらに、私達に対して高圧的に、
紹介してあげたんだから感謝しろ!
そして私にも、客を紹介しろ!
と言ってくることもあります。
私は何度も、生命保険の営業マンから、このような扱いを受けてきました。
私達は少数精鋭で仕事をしているため、本来の時間とエネルギーは、既にご契約をいただいているお客様や、ホームぺージからお問い合わせを頂いたお客様に使いたいのです。
ミスマッチを起こさないために
私達の事務所では、こういったミスマッチを起こさぬよう、生命保険会社さんからのご紹介は、次の2つの要件を満たす方のみ、お受けしています。
事務所にお越しいただける方
初回からご相談料をお支払いいただける方
これを伝えると、
いや~。先方は、お忙しい方なんで、一緒に来ていただけませんか?それに普通、初回相談は無料じゃないですか?私の顔を立ててくださいよ
という人がいます。
私達は、提供するサービスに自信と誇りをもっています。
ご相談料を頂戴しているのも、熱い想いがあるからなのです。
『生命保険会社の人』と括ってしまいましたが、こういった方は少数で、多くの方は、私達の価値観をよくご理解してくださり、実際に事務所に足をお運びいただき、とても素敵なお客様をご紹介してくださります。
いつも本当にありがとうございます。
まとめ
金融機関からの紹介に依存している税理士の皆さん。
今一度、お客様にとって最善の提案ができているか、見つめ直してほしいと思います。
周りが当たり前のように、紹介元にとって最善の提案をしているので、感覚が麻痺していませんか?(私は昔、麻痺していた時期がありました)
税理士は本来、依頼者にとって公平中立であるべきです。
紹介元の利益なんて考えてはいけません。
士業にとって本来、『紹介』はとても有難いものです。
しかし、紹介に依存すれば、紹介元から不平等条約を結ばされることもあります。
そういった事態を避けるためには、少なからず、『自分で主体的に集客する』という姿勢が必要です。
一緒に頑張っていきましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。